第2章 マーケティングと企業戦略

[企業戦略] 非価格競争

価格以外の分野で他社商品と差別化を図り、付加価値を高める活動。

非価格競争とは
 一般的には、同等の品質、機能(性能)、サイズの商品が競合している場合、消費者はより低価格の商品を選択する傾向があります。したがって、どの企業も他社より少しでも安く価格設定しようとコストダウンに全力を注ぐのです。
 しかし、コストダウンは他社がすぐに追随してきますし、東南アジアを中心とした低価格品の攻勢なども無視できません。価格競争とは、永遠に続く勝者のない戦いと言っても過言ではないでしょう。そこで、価格以外の分野で他社商品と差別化を図り、付加価値を高める活動、つまり非価格競争が注目されるようになったのです。

非価格競争の内容
 非価格競争は、文字通り価格以外のすべての分野での差別化を指します。具体的には、ネーミング(ブランド)、デザイン、パッケージ(包装)、品質、機能、新しい用途の開発・提案、流通、告知・販促、アフターサービスなどです。
@製造業者の主な非価格競争 製造業者は、主に商品を軸に差別化を図ります。例えば、斬新なデザインや他社商品にない機能などです。ここで注意すべき点は、その差別化が消費者に価値のあるものでなければならないということです。どんなに斬新なデザインでも、使い勝手が悪ければ何にもなりません。又、どんなに技術的に優れた機能でも、利用頻度が少なければ訴求力は弱いのです。
A小売業者の主な非価格競争 他店と同じ商品構成になりがちな小売業者は、売り方(売り場)を軸に差別化を図ります。もちろん、小売業者の生命線はマーチャンダイジング、つまり「いかに売れる商品を仕入れるか」ですが、小売業者の基本として接客応対や店舗機能による差別化も不可欠です。最近では、顧客ニーズに合った商品を提案するコンサルティング型商談や購入商品の無料交換制度導入といった差別化例があります。