第3章 市場戦略と市場構造

[市場戦略の理論1] マーケティングにおける市場とは

製品やサービスを購入しようとしている、あるいは今後購入する見込みのある個人や組織の集まり。

顕在市場と潜在市場
 マーケティングにおける市場とは「製品やサービスを購入しようとしている、あるいは今後購入する見込みのある個人や組織の集まり」と定義できます。ここでの個人や組織は買い手としての役割を担うことから、特定の製品やサービスに関心があり、購買する意思や可能性を持っていることが必要となります。
 分譲マンションを例にとると、購入を前提に商談をしている人(顕在市場)と、今すぐにではないが将来は購入したいと考えている人(潜在市場)を合わせた全体が市場ということになります。ただし、いくら購入したいといっても、資金的な裏づけのない人は市場に含めることができません。また、住宅の購入には現物の確認が不可欠なため、遠隔地の人は購入の対象になりにくいという地理的な規定要因もあります。企業にとっては自社が対象とする市場を正しく捉えることが、市場戦略の構築の第一歩であると言えるでしょう。

市場の捉え方
 市場を知るためには、その規模と構造を把握することが重要となります。具体的には@どのような人が市場を構成し、Aどのような製品・サービスを、Bどのような時期に、あるいは頻度で、Cどのようにして購入するか、という視点を持つことです。先の例では、購入者の年齢、所得水準、家族構成などはどうなっているか、求める立地や間取りはどのようなものか、購入のきっかけは何か(金利や市況の変化、ライフステージの変化など)、どのような情報を参考にどのような購買行動をとるのか、といった点がポイントになります。

市場の変化を知る
 企業にとっては現在の市場を知ることも重要ですが、市場の将来像を描くことは更に重要です。市場は絶えず変化しており、変化に遅れることで市場を失ったり、逆に変化を先取りすることで新たな市場の獲得が可能となるからです。