第5章 価格設定と価格管理

[価格の基礎2] 価格体系

流通の川上にあるメーカーや生産者が標準的に設定した販売価格と利益の体系を価格体系という

価格体系とその構造
 製造者(=メーカー)や生産者が自社の製品・サービスの価格設定を行う際に、流通各段階での粗利益(=マージン、流通業界では「値入れ」)を標準的に設定して全体の価格構造を示したものを「価格体系」といいます。市場競争力のある価格設定を行うためには、メーカーは商品開発の計画段階から、流通各段階の利益構造を把握しておく必要があります。
 流通各段階の値入れ率は、各々の果たす役割や競合状況、商品カテゴリーなどにより異なりますが、業界の慣習によりおおよそ決まっているケースも多いようです。いずれにしても国際化や消費者の成熟によって、消費者により近い小売業者からの卸業者やメーカーに対する価格への要求は厳しさを増しています。消費者中心のマーケットへと変化する中、多段階流通を見直し、削減したコスト分を価格に反映させて消費者に還元しようとする動きもあります。

価格体系の意味
 メーカーが卸売価格、小売価格をコントロールすることは法律により禁じられています。したがって、価格体系とは、あくまでメーカーのマーケティングに基づく価格戦略上のモデルに過ぎません。
 しかし、市場競争に勝つためには、メーカー・流通の協力が不可欠であり、それぞれの役割に応じたバランスのよい利益配分を持つ価格体系の構築が欠かせません。