第6章 流通政策と関連法規

[流通業者1] 代理店/特約店/販社

卸売業の形態は、業界の特徴やメーカーとの結びつきの強さによって異なる。

 メーカーにより系列化された流通業者は、メーカーの統制が緩やかな順に、次の3つに分けられます。

代理店
 メーカーとの契約により、一定地域の販売権を得て販売を代理する卸売業者です。海外の自動車メーカーが輸入代理店を置くなどの例があります。
 販売網がしかれていない市場に新規参入する場合や、中小企業のため自社で販売網をつくるのが難しい場合、代理店制度を採用すると短期間で効率的に流通チャネルを構築できるメリットがあります。

特約店
 メーカーと特定の条件が付いた特約契約を結び、販売活動を任された卸売業者です。特約があるためメーカーの支配力は代理店よりも強化されます。特約店の中には一次特約店から取次ぎを受ける二次特約店もあります。
 特約店にはメーカーのさまざまな支援を受けられるメリットがあり、メーカーには卸売業者を管理しやすくなるというメリットがあります。加工食品など多くの業界が特約店を組織化していますが、近年は酒類や医薬品を中心に特約の意義が低下しています。幅広い品揃えを誇る量販店が強大になり、複数のメーカーと特約を結ぶ卸売業者が増えたためです。

販売会社(販社)
 特定のメーカーに専属した卸売業者です。メーカーが設立に参加したり、資本や人材を投入して組織化しているケースが多く、代理店や特約店よりも強い統制がしかれます。化粧品、自動車、日用雑貨などの業界で販社制度が採用されています。
 メリットは、メーカーの意図を反映しやすく、価格の安定が実現できる点ですが、流通を硬直化させる危険があります。販社側から見ると、経営が安定する反面、自立性がそがれる難点もあります。海外からは新規参入を阻む障壁だとして非難を浴びています。