第6章 流通政策と関連法規

[流通業者2] 卸売業の機能とその変化

流通経路の短縮化が進んだ結果、卸売業の存在意義が問われている。

 卸売業の機能には@調達・販売A物流B金融・危険負担C情報提供――があります。

 @調達・販売機能
 メーカーから商品を調達し、メーカーに代わって販路を開拓して小売業者に販売する役割で、卸売業の基本機能です。
 しかし、最近では、消費者が求めている商品、消費者の視点から見て売れる商品を探し出して小売業者に紹介するといった「川下発想」がより重視されています。

 A物流機能
 メーカーから大量に仕入れた商品を保管し、包装加工、仕分けをして小売業者へ配送する機能です。これについても、共同配送や多頻度小口配送など、効率と鮮度管理を重視する「川下」からの要請が強まっています。

 B金融・危険負担機能
 商品が消費者に購入される前の段階でメーカーに代金を支払い、メーカーが次の生産のために投資できるようにする金融機能と、最終的に商品が売れずに代金が回収できなかった場合の危険負担をする機能です。

 C情報提供機能
 これからの卸売業者に最も期待される機能です。メーカーに対しては、どのような商品がどのくらい売れているかなど新製品開発や生産調整に役立つ情報を提供します。
 一方、小売業者に対しては、売れ筋の商品や新製品の情報を提供したり、店舗経営のためのアドバイスをする、いわゆるリテールサポートの機能を果たします。

岐路に立つ卸売業
 インターネットの普及や、メーカーと消費者との直接取引きの増加により、結果として「中抜き」といわれる、卸売業者を通さない取引が増加しています。
 卸売業は不要だとする「問屋不要論」が再燃する中で、今後は情報提供機能の強化を軸にした、新たな卸売業の役割構築が求められています。