第9章 広告と広報活動

[広報概論] 広報の機能と役割

広報とは組織内外・社内外にわたる幅広いコーポレート・コミュニケーション活動。

市民社会との良好な関係構築活動
 広報活動とはPR(Public Relations)の訳語で、組織・企業が市民社会との良好な関係を構築するためのコミュニケーション活動をいいます。
 広報の役割は、組織・企業を代表して社会に接し情報を受発信する「対外的代表機能」のほか、社会と組織・企業との間に発生する諸問題を調整する「調整機能」、さらにその組織・企業体の経営戦略に沿った広報計画を実施する「実施機能」という3つに集約することができます。
 広告が主に市場開拓・市場拡大を目的としたコミュニケーション活動であるのに対して、広報は組織内外・社内外も含めた広範な社会を対象としており、その目的も社会的組織・企業としての理解・評価・信頼を得るために行われる、あらゆる活動を指します。広告とともにコーポレート・コミュニケーション活動の一角を担う広報は、マーケティング領域に位置する広告に対して、マネジメント領域の一分野に位置づけられます。

広範な活動領域
 広報活動の対象は組織・企業が関わる一切の関係者、つまり一般生活者、市民、マスコミの他、取引先、投資家、株主、行政官庁、顧客、業界関連各社、有識者、オピニオンリーダー、地域社会、消費者団体、就職希望者、組織メンバー、従業員など多岐にわたります。
 そのため、その活動内容も広報誌やニュースリリースの発行、あるいは取材対応などによる情報発信、施設見学会やPRイベントの実施などを通じて組織・企業の活動を広く知らせる告知活動、お客様相談窓口やお客様モニターを設けることによって一般生活者との間の対話を実現する対話活動、さらに文化事業やスポーツイベントなどを主催・協賛することによる社会還元活動など、極めて幅広いものとなっています。