第10章 消費者意識と購買行動

[購買行動8] 比較購買

モノが飽和状態になり、多くの情報が飛び交う現代では、比較購買が積極的に行われている。

購買経験の蓄積
 高度経済成長期以降の長い好景気、バブル期を経て、日本の消費者は多種多様な商品の使用経験を持ち、商品知識を蓄積してきました。そして今、バブル崩壊後の景気低迷下において、消費者の購買行動はより選択的に移行し、売り場に欲しい商品がなければ買わないという、「無の選択」さえもあり得るようになりました。

比較購買とは
 比較購買とは、消費者が商品を購入する際、複数のメーカーやブランドを比較したり、販売店間のサービスや価格、付加価値を比較した上で購入することを意味しています。多くの情報と多様な選択肢が存在する現状では、比較購買が積極的に行われるようになっています。
 モノの購買に関して経験を豊富に積んだ消費者は、どの店にどのような商品があるかを自分なりに理解しており、自分の好みに合った商品を提供してくれるのはどの店舗なのかも把握しています。しかし、次々と新商品が生まれ、新たな販売店も毎日のように誕生している昨今では、消費者も賢くなり、今以上に自分の欲求を満たす販売店を見つけようと、日々情報収集を続けているのです。

比較購買の浸透
 マイカー利用、海外旅行の増加、インターネットの普及等に伴い、消費者の購買エリアはより広域へと拡大しています。こうした状況下では、より多くのメーカーの商品を比較購買できる店舗のほうが、特定のメーカーの商品しか入手できない店舗よりも、消費者にとっての利便性が高くなります。したがって最近では、競合商品の商品情報が得られ、かつ品数も豊富な量販店で、ワンストップ・ショッピングする傾向が強まっています。
 一方こうした比較購買の浸透に対し、単一メーカーの商品しか揃えることのできない直営店や系列店等では、アフターサービスの充実等、サービス面での強化を中心に対抗措置を講じることになります。