第12章 マーケティング・リサーチと解析手法

[リサーチの基本2] 定量調査と定性調査

数値化できる情報を収集するのが定量調査。数値化できない情報を収集するのが定性調査。

定量調査とは
 収集されたデータを数値化することを想定した上で設計された調査であり、市場調査だけでなく、各種の世論調査や実態調査を含めた多くの調査は定量調査です。また、数値データとしての信頼性を確保するためには、比較的多くのサンプル数が必要となります。
 定量調査は、データが数値化されているため、誰でも理解しやすく、時系列での比較や多変量解析といった統計的なデータ処理にも適しています。データを数値化するためには、質問とその回答となる選択肢が予め用意されていなければなりません。

定性調査とは
 対象者から発せられる生の言葉や行動、あるいは観察者が見たままの状態や印象など、ことばや文章あるいは写真といった数値化できないデータの収集を目的とした調査で、比較的少ないサンプルで実施されます。定性調査の代表的な手法は「グループ・インタビュー」ですが、この他、個別の対象者を長時間にわたって面接する「深層面接法」や対象者の態度や行動、あるいは反応などを観察する「観察法」などがあります。仮説づくりからスタートする定量調査に対し、この定性調査は、仮説を見つけにくい調査テーマや市場の新しい動きを発見して、そこから仮説をつくりあげなければならないケースなどに最適な調査方法といえます。消費者ニーズが多様化、個性化した現代では、消費者意識や行動の仮説づくりが難しくなっていることを考えると、この定性調査の重要性はさらに高まっていくものと予想されます。