第12章 マーケティング・リサーチと解析手法

[リサーチ手法3] 電話調査

対象者に電話をかけて質問に回答してもらう調査手法。音声だけで理解可能な質問に制限される。

電話調査とは
 対象者に電話をかけて質問し、回答してもらうことでデータを収集する調査方法です。通常、電話インタビュアーが用意された質問紙に沿って質問を実施し、その回答を質問紙に記入します。電話調査の実施をコンピューターで管理するシステムを「CATI(Computer-Assisted Telephone Interview)」と呼びます。電話普及率が高く、直接対象者に調査員が訪問する訪問調査を実施するには費用面・効率面・安全面などで日本より制約が多い欧米では、このCATIの導入が進んでいます。また、最近では情報機器の発達もあり、CATIをさらに進化させた形で、”質問紙作成→電話調査→データ集計”といった調査プロセスを、一つのソフトでトータル管理するシステムも開発されています。

電話調査のメリット
 即時対応性に優れていることが挙げられます。他調査手法に比べ、実査準備の手間がかからないことと、質問に対する回答もその場で得られることから、実査期間が非常に短くすみます。そのため、費用的にも比較的安く実施できます。さらに、最近は電話料金に関して料金引き下げや多様なサービスメニューの提供が出てきていることも追い風になっています。また、地域に左右されないため、対象者が地理的に分散していても、効率よく調査できます。

電話調査のデメリット
 まず質問ボリュームが限られるため、比較的簡単な調査にしか向かないことが挙げられます。電話調査の場合、回答してもらう為に相手の時間を拘束しますので、”質問時間は十五分以内”が一つの目安となります。そのため、質問量もそれに見合う量に制限されますし、質問内容も聞いただけで明確に理解できる(質問内容が簡単)ものが求められます。また、最近の傾向として、電話帳不掲載を希望する世帯が多くなっているため、代表性の問題にも留意が必要です。