第12章 マーケティング・リサーチと解析手法

[リサーチ手法4] 会場調査

調査を実施する会場に対象者を呼び込んで行う調査手法。数に制限はあるが速報性に優れる。

会場調査とは
 調査を実施する会場を予め設定し、そこに対象者を呼び込んで行うデータ収集法の一つです。会場調査の種類としては、@対象者を会場に集めて一斉に調査するギャング・サーベイ、A対象者を会場に集めるところまではギャング・サーベイと同じですが、個別面接で調査を行うCLT(セントラル・ロケーション・テスト)、B六人前後の対象者を会場に集めて、座談会形式で調査を行うグループ・インタビューなどがあります。

会場調査のメリット
 メリットとしては、対象者に豊富な情報・マテリアルを提示することが可能であり、提示物に対する率直な意見を得られやすいことが挙げられます。故に、テレビCMや商品の評価をリサーチ課題に設定している調査で比較的多く用いられる手法です。また、調査担当者が対象者の反応を直接観察することも可能なので、対象者とのコミュニケーションを通して、より本音部分のデータ収集が可能となるメリットもあります。データ収集・分析にかかる時間も、他データ収集法と比べて、相対的に短時間ですむため、迅速な意思決定のためのデータ収集にも適しています。

会場調査のデメリット
 デメリットとしては、会場の手配・設営、対象者への提示物の準備といった、運営上の手間がかかることが挙げられます。また、一般的に対象者は、特定の条件を満たしていることが前提となるため、条件が厳しい(出現率が低い)時は、必要対象者数の確保が難しい場合もあります。特に、会場近くで対象者をリクルートするモール・インターセプトの場合は、対象者特性を理解した上で、会場を選ぶ必要があります(若い人が対象者の場合は若い人が集まりやすい会場)。通常、対象者は無作為抽出で選ばれないことが多いので、母集団を代表した結果ではないことにも留意が必要です。