第12章 マーケティング・リサーチと解析手法

[リサーチ手法8] インターネット・リサーチ

インターネットを使った調査手法。対象者の偏りなど現状では問題点もあるが、次世代調査手法の最有力候補。

インターネット・リサーチの現状
 米国ではインターネットユーザーの分布が実社会の人口分布に近づいていることもあり、インターネット・リサーチの有効性も認識されつつあります。反面、日本では二十〜三十代が六割程度を占めているという現状もあり、サンプルの偏りの問題からリサーチ手法として確立している他調査手法と同じ位置づけとするには時期尚早と考えられています。

インターネット・リサーチの方法
 主流は「クローズ型(特定多数の回答)と呼ばれる方法です。これは、インターネットユーザーを調査モニターとして事前に登録しておき、調査モニターはウエッブ上に掲載された質問文に沿って回答するという方法です。これとは逆に「オープン型」という方法もあります。これは、不特定多数の回答者を許容する方法で、原則として誰もが回答者になることができます。そのため、同じ人物による複数回答や懸賞マニアの回答といった問題を避けることは非常に困難となり、インターネット・リサーチとしての信頼性には疑問がつけられています。

インターネット・リサーチの特徴
 インターネット・リサーチの最大メリットは、フィールドから集計までが比較的短時間で終了する点です。一般的に、インターネット・リサーチから得られる情報は、代表性の問題から意思決定のためのデータには向かないといわれますが、母集団をインターネットユーザーと限定して考えれば、十分有効性を持っています。また、新製品の初期購入者など、調査対象者のリクルーティングが難しいような場合でも、事前の登録情報や予備調査などによって比較的容易に集めることが可能となります。インターネット・リサーチは、現時点では、未解決な点も存在していますが、その特長を上手に活用すれば、将来はもとより、現在でも十分有用な調査手法といえるのです。