社員コラム

マーケティングにおける海外調査の落とし穴【3】

執筆者:日本リサーチセンター  松川 倫子

本章では、せっかく費用をかけて海外で調査したにも関わらず、肌感覚と合わない結果しか得られない、といったことを避けるために、定量調査(量的に分析するため、数多くの人にインタビューする調査)の調査設計や実施段階における注意点を紹介します。

本当にそんな人たちをたくさん集められる?

 対象者条件を設計する場合、通常その国での該当商材の浸透度合や競合の状況を把握した上で、まず、新規ユーザー、リピーター、離脱層、非ユーザー、無関心層などの中から調査ニーズに合わせて対象者を決めます。続いて、基本属性、価値観、消費意識などの要素を考慮します。これらの要素に加えて、その国の特殊事情を鑑みた条件を加える場合もあります。例えば、日本の感覚では豊かさを測る尺度としてしばしば収入を用いますが、中国ではグレーな収入(裏収入や物品の授受など)や、親の援助などがあるために、単純に収入を聞くだけでは実態は分かりません。

 対象者条件を設定する際は机上の空論で終わらぬよう、経験値の高いパートナー(調査会社等)の意見を聞きながら、現地の実情に即した条件に調整する必要があります。

 難しい対象者条件を設定してしまうと、条件通りに対象者を集められなかったり、期間内に一定数の対象者を集められなかったりすることがあります。これは日本でも起こりえることですが、国内市場よりも情報量の少ない海外市場においては、よりそのリスクが高まります。そのため、自分たちが設定している条件の対象者がどの程度存在しているのか、より慎重に出現率を想定して調査を設計することが第一歩となります。

 特にオンライン調査の場合、新興国においてはオンラインパネル登録者に偏りがあり、「都市部住民が多い」「富裕である」「若年層が多い」といった傾向にあるため、地方や年齢が上の人たちにリーチすることは困難です。一方、先進国のオンライパネルでは、意外かもしれませんが、高齢者だけでなく若年層も少ないことが多く、結果、必要数を集めづらい傾向にあります。また、国による違いだけではなく調査会社によってもパネルの数や特性は異なりますので、まずは対象者をきちんと集められるか、調査環境と条件をしっかり把握しましょう。

同じ属性の人ばかりに聞いてない?

オフライン調査の場合、全国規模での調査は費用面で現実的ではないことが多いので、調査地域を絞り込むことになりますが、絞り込んだ地域の中のどの場所で調査をするのかによって、結果に偏りが生じる可能性があります。特に海外では、日本と比較して同じ都市の中であってもエリアによって住んでいる人の特徴が大きく異なる場合があるため、都市だけでなく、その都市のどのエリアで何サンプル程度集めればよいのかといったことまで設定して、回答者が偏らないようにしましょう。

 一方、オンライン調査では、パネルの数があれば、全国規模でも都市単位でも調査することができますが、誰がアンケートに答えるかは、条件合致者の中での早い者順になります。コントロールせずに調査を実施すると、回答者のほとんどが首都在住だったり、すぐに回答しやすい学生や主婦が多くなったりしますので、回答者の属性はできるだけ偏らないよう配慮しましょう。

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