第4章 商品政策と製品ライフサイクル

[ブランド] ブランド・エクイティ

ブランドは、消費者と企業を結ぶ指標・概念そのものであり、企業の財産といえる。

資産としての価値
 「ブランド・エクイティ」とは、ブランドを企業資産として捉える考え方です。欧米では、ブランドを企業間で売買することが少なくないため、ブランドの資産価値を財務的に表す必要があることから出てきた考え方です。
 アメリカの経営学者D・A・アーカーは、ブランド・エクイティの要素を5つに整理しています。

@顧客満足度を背景とした商品の継続購入などに示されるブランド・ロイヤルティ
Aブランドネームをどれだけの人が知っているかを表すブランドネーム認知度
B他のブランドと比較して、全体的な品質面で優れていると顧客が感じる知覚品質
Cブランドに結びついた特定の連想を意味するブランド連想
Dブランドに関する特許・商標・チャネルなどの所有権がある資産

 これら5つの要素の水準を測定し、その水準を財務的に評価したのがブランド・エクイティになります。財務的な評価方法としては、5つの要素がどれだけ企業収益に貢献しているのかという視点と、5つの要素水準を改めて獲得するとしたらどれだけの費用を要するかという視点があります。

日本で注目される理由
 日本で特にブランド・エクイティが注目されているのは、5つの要素が企業と消費者を結ぶ重要な指標・概念となると考えられているからです。
 現在の成熟した市場では、消費者の購買意欲は低下しており、企業はマーケティング戦略として、市場シェアの獲得ではなく、その顧客の中に占める自企業のシェア、ポジショニングを高めることを重視しています。ブランド・イメージに共感するファン層、ひいてはパートナーとなってくれるロイヤルティのある顧客の開拓が求められてくるからです。