第6章 流通政策と関連法規

[流通戦略4] リベート/アローワンス

メーカーからの代金の「割戻し」は、流通チャネルを維持し、支配力を強化するための手段。

リベートとは
 メーカーから卸売業者や小売業者に、通常の取引とは別に、一定期間の取引量や取引金額に応じて支払われる代金の割戻しのことです。
 リベートには、累進リベート(商品の取引量に応じて支払う)、導入リベート(新商品を扱ってもらうために支払う)などの名目があります。メーカーが流通チャネルの統制や販売経路拡大のために支払う一種の報奨金ともいえます。メーカーが取引先の経営状況に応じて個別にリベート金額を調整し、取引先の利益を補うケースも多く見られます。
 このように、不透明で複雑なリベートは、事務処理の負担を増加させるため、見直しを図るメーカーが増えています。また、リベートは日本独特の取引慣行であるため、海外からは非関税障壁のひとつとして批判を浴びることもあります。
 しかし、この制度によって卸売業者や小売業者を組織化してきたメーカーやリベートに頼る経営を続けてきた中小卸売業者を考えると、撤廃は難しいようです。

アローワンスとは
 アメリカには日本のようなリベートはありませんが、似たものとしてアローワンスがあります。アローワンスは商品を販売してもらうためにメーカーが支払う協賛金です。
 広告アローワンス(広告掲載に対して支払う)、陳列アローワンス(指定の陳列をしたことに対して支払う)など、リベートと同様にさまざまな名目があります。近年はアローワンスの費用がかさむため、成果を挙げた場合のみ支払うという形式もあります。

リベートとアローワンスの違い
 リベートは、メーカーが商品を取り扱ってもらうために支払うもので、明確な支払い基準がなく、取引先に応じて設定され、支払いについてもオープンにされていません。一方、アローワンスは商品を販売してもらうために、どのような取引先に対しても共通の支払い基準でオープンに支払われます。