第6章 流通政策と関連法規

[流通業者4] ボランタリー・チェーン

フランチャイズ・チェーンよりも加盟店の自由度が高い分、足並みがそろわないという弱点もある。

ボランタリー・チェーンとは
 独立小売店が経営の独自性を保ちながら、卸売業者などが主宰するチェーン本部に加盟し、業務の協業化によって規模のメリットを享受しようというシステムです。
 日本では小売業者が主宰する場合もボランタリー・チェーンと呼びますが、アメリカでは卸売業者が主宰するもののみを意味し、小売業者が主宰するものはコーペラティブ・チェーンと呼ばれています。
 フランチャイズ・チェーンと同様に、チェーン本部が商品の仕入れ、配送、マーチャンダイジング、各種プロモーション、情報処理などを行う代わりに、加盟店は加盟料(ロイヤルティー)や指導料を本部に支払います。

フランチャイズ・チェーンとの違い
 フランチャイズ・チェーンはチェーン本部の経営指導や規定が厳しく、加盟店が独自に仕入れや店舗改装などを行うことはできませんが、ボランタリー・チェーンは加盟店の裁量の幅が広く、自由な経営が可能です。また、加盟料も一般的にフランチャイズ・チェーンよりも安くなっています。そのため、既存の中小の小売業者が独立を維持しながら、大規模小売業者やチェーン小売業者に対抗し、スケールメリットを享受するには有効といえます。また、共同販促によって、コストを削減することもできます。
 しかし、本部の規制が緩やかな分、加盟店の意思統一に欠けるという欠点もあり、チェーンとしての力は弱く、伸び悩みも指摘されています。

欧米で発展するボランタリー・チェーン
 日本では、スーパーマーケットなどの食品小売業者を中心にボランタリー・チェーンが展開されていますが、あまり発展していません。
 ヨーロッパでは、強力な指導力を持ったチェーン本部のもとで数多くのボランタリー・チェーンが業績を挙げており、オランダで生まれた卸売業者主宰のSPARや、小売業者が共同で創立したドイツのEDEKAなどが幅広い展開をしています。