第6章 流通政策と関連法規

[流通政策1] 規制緩和と流通政策

保護を基本としてきた経済規制が大きく緩和され、経済活動が原則自由になった。

経済活動は原則自由に
 流通政策は競争政策と調整政策とに大きく分けられます。
 競争政策とは、自由な競争を促進するためのルールを定めるもので、その代表例は不公正な取引を制限する独占禁止法です。
 調整政策とは、自由競争をそのまま認めるといろいろな弊害が生じると予想される分野に、政府が介入して調整するものです。
 歴史的に日本では調整政策が多く、海外から「日本市場への参入を阻む障壁である」との強い批判を浴びてきました。そのようなこともあり、1980年代から「経済活動は原則自由、社会的規制は最小限度」という方針で規制緩和が進められました。

流通構造変革の原動力に
 流通関連の規制緩和の動きの代表的なものは、米穀販売における免許制から登録制への移行と酒類免許制度の緩和です。いずれのケースでも、これまで特定の販売店しか扱えなかったものが、コンビニエンス・ストアやスーパーマーケットなどでも売られるようになり、販路が一気に拡大しました。
 このほか、ガソリンスタンドの出店自由化やセルフサービスによる販売の解禁、化粧品に対する再販制度(再販売価格維持制度)の適用除外などがよく知られています。
 これらの規制緩和は、競争の激化を促進しただけでなく、流れに乗れない店に廃業、あるいは業態転換を迫る結果となり、日本の産業構造や流通構造が大きく変わる原動力になりました。