第7章 販売形態と店舗施策

[商業立地1] 商圏(1)

小売業や外食産業は、出店する際にさまざまな要素から商圏を分析する。

商圏とは
 小売店舗や外食店舗などの買物施設にお客様が来店する可能性のある「地域的な広がり」のことをいいます。つまり、潜在的消費者の地域的な広がりです。
 商圏は通常、距離圏で示されますが、地理的条件や競合施設の状況などによってその範囲は大きな影響を受けます。例えば、道路や河川などによって商圏は拡大したり、分断されたりしますし、競合店舗が近隣に出店した場合、商圏は大きく縮小することもあります。
 具体的な商圏の範囲は、店舗を中心にして、その地理的広がりの程度と来店頻度(来店密度)の高低を基準にして、次のように分類されます。

●第1次商圏……最寄品商圏などといわれ、お客様がほぼ毎日来店する可能性のある範囲を指し、一般的には徒歩で10〜15分程度の距離を考えます。
●第2次商圏……中間品商圏などといわれ、週単位で来店する範囲であり、自転車で10〜15分程度の距離を考えます。
●第3次商圏……専門品商圏などといわれ、月単位で来店する範囲であり、電車やクルマで30〜40分圏が該当します。

商圏の特性
 第1次から第3次に分類した商圏構造を基準にして、以下のような項目でそれぞれの商圏特性が整理されます。

@商圏人口……商圏の潜在力を評価するときの基本となる指標です。性別人口、年齢別人口や世帯数とその伸び率、世帯人員、昼間人口と夜間人口の差などを分析します。
A商圏内住民特性……住民の暮らし方やライフスタイルなどを推測する指標です。ターゲット顧客層の設定や品揃えの価格水準、顧客サービス内容とその水準などを検討する基礎資料となります。具体的には、職業構成、クルマ保有(複数保有)の有無、住居タイプ(一戸建て、集合住宅など)、共働き比率、世帯構成、所得水準などです。