第11章 マーケティング情報とデジタル・マーケティング

[マーケティング情報1] マーケティング情報

一次情報と二次情報をうまく組み合わせることで、マーケティング戦略に有用なデータを収集する。

マーケティング情報とは
 新商品開発や市場シェアを高める、あるいは売上高を増加させるといったマーケティング戦略を立案する上で、必要不可欠なものであり、また、マーケティング活動展開の中で収集しなければならないものでもあります。
 マーケティング情報は、大きく分けて一次情報と二次情報に分けることができます。「一次情報」とは、売上データや顧客データといった内部データに加えて、特定テーマを目的としたマーケティング・リサーチによって得られるデータ(新商品の需要予測調査、CS調査、ブランド認知調査等)などが該当します。これに対して「二次情報」とは、官公庁や業界団体あるいは特定企業が一般に公開することを前提とした調査データなどの外部データが中心となり、国勢調査や商業統計調査などがその代表的なものです。この二次情報のうち、官公庁が定期的に実施する基本調査は、それに要する費用や時間、そして何よりも官公庁という権威づけがあってこそ実施が可能となるものであり、特定企業が自社で実施することは実質的に困難です。

互いに密接な関係
 この一次情報と二次情報はマーケティング戦略を構築する上で、互いに密接な関係を持っています。例えば自社商品シェアをエリア別に調査する場合、エリア別人口統計や商業統計によって、最初に調査フレームを決定します。次に、どのエリアにどれだけのサンプルを抽出して調査をすれば、エリア別の自社商品シェアを正確に把握できるかを決定し、一次情報として自社でマーケティング・リサーチを実施します。さらに、マーケティング・リサーチによって得られた一次データの市場シェアを基に、二次データの人口統計を乗じることによって、市場規模を推計することも可能となります。
 また、市場シェアの低いエリアの要因を探るためには、二次データの商業統計や事業所・企業統計調査、あるいは家計調査報告などを基にして、競合店の出店状況や、事業所需要動向あるいは消費構造などを分析することになります。

ITの進歩による情報のリアルタイム化
 最近のIT(インフォメーション・テクノロジー)によるデータ管理技術の向上によって、小売業や卸売業からの受発注・売上データなどは、リアルタイムで集計され、データ加工することも可能になりました。その代表例が、POSシステム(販売時点情報管理システム)です。また全国の消費動向や産業動向を把握する上で重要な情報源となる二次情報ですが、企業のマーケティング担当者は、それらの調査概要についての十分な知識を持っていなければ、データを有効に活用することはできません。
 各統計データは3年ごとや5年ごとなど実施サイクルが異なるので、最新データを利用するようにチェックしましょう。