第11章 マーケティング情報とデジタル・マーケティング

[マーケティング情報2] 定量データ/定性データ

消費者行動の広さを把握する定量データと深さを読みとる定性データを活用する。

定量データ
 マーケティング情報の一般的な分類方法として、定量データと定性データというデータの性質による分類があります。「定量データ」とは、商品の市場占有率や売上高など数値として把握できる情報を指します。数値データであるため、時系列や性別・年齢など顧客別に細かく加工し比較することが可能となり、あらゆるマーケティング戦略の基礎データとして活用されます。

定性データ
 「購入した商品のどこが気に入ったか」「商品のパッケージデザインは使いやすいか」「なぜこのお店でよく買うのか」などのように、数値に表せない質的な情報であり、消費者の購買意識などを分析するデータとして活用されます。いわば、消費者行動の広さを把握するのが定量データであり、消費者行動の深さを測定するのが定性データと位置づけることができます。
 消費者の購買行動は、そのライフスタイルやライフステージによって異なります。市場が成熟する前であれば、定量データを中心にした分析による商品やサービスの開発であっても、何とか一定の市場占有率を確保することが可能な時代がありました。しかし、マーケティング要因が複雑・高度化し、消費者ニーズが多様化した今日の市場環境においては、マーケティングは多品種少量生産・販売対応型にシフトせざるをえません。そのため、「なぜこの商品が売れているのか」といった仮説検証の購買決定因子発見のためには、消費者の購買行動に関する定量データに加えて、消費行動心理や社会行動心理といった定性データが非常に重要な役割を持っているのです。このような定性データは、マーケティング・リサーチによって収集するだけではなく、日頃からお客様の反応をチェックし、それを定性データ化するようなシステムを作り上げておくことが重要となるのです。