第12章 マーケティング・リサーチと解析手法

[コラム] ―リサーチこぼれ話― マーケティング・リサーチャーR氏の2週間+α

 リサーチャーR氏はある日突然クライアントから一本の電話を受けた。「四月からOAするテレビCMを複数候補から一つに絞り込むためのリサーチをお願いします。二週間以内に結果をください」。
 R氏は考えた。まずは5W1Hに沿って現状の整理。「WHO→中・高校生を100名/WHAT&WHY→最も評価の高いTVCMは?/WHERE→中・高校生を集めやすい所/WHEN→直近かつ実施可能な土日(平日は学校)/HOW→調査手法はCLTを選択」。ここまではPLAN段階。次はDO段階だ。CLTを行う会場・対象者リクルーター・会場運営要員・会場で見せる広告・ビデオ等のマテリアルを手配する。並行して質問作成も行う。定量調査をベースに自由回答もいくつか用意しよう。
 いよいよ調査当日。会場前を歩く中高校生にリクルーターが声をかける(キャッチセールスではありませんよ)。「OK」の返事をもらった方を会場内に案内。簡単な説明の後、すぐにテレビCMを視聴。評価してもらう。会場内はまさに自転車操業状態だ。これだと100名は集められると、R氏が少し安堵感に包まれた矢先トラブル発生。予定時間をオーバーした対象者からの苦情だ。誠意あるお詫びで、何とか矛を収めて頂いた。対象者の方に時間をさいて頂いていることを忘れてはいけない。集めた100名分のデータをすぐに入力。入力したデータはすぐに使えない。内容の誤り等をチェック・修正した結果、はじめて使えるデータになる。そこから必要な集計を行い、やっとクライアントが望む結果が出てきた。これからこの結果を元に報告会だ。
 時は過ぎて、四月に入り調査結果通りのテレビCMがOAされるのを見るR氏。「実際の売り上げはどうなのだろう? 広告の関連性はどの程度なのか? 次のリサーチの必要性がありそうだ」と思うR氏だった。