NRCレポート

ユニバーサルデザインのまちづくりは
どの程度進んでいると考えられているか

~ユニバーサルデザイン調査2019~  (2019年9月調査結果)
時事・トレンド 生活・ライフスタイル

公表日 2019年12月24日

日本リサーチセンター(本社:東京都、代表取締役社長:鈴木稲博)は、1960年に設立された民間の調査研究機関であり、民間企業および官公庁、大学をはじめとする学術機関などの依頼を受け、各種の調査研究をおこなっています。
 この度、当社の自主調査として、「ユニバーサルデザイン調査」を実施し、その結果をまとめた調査レポートを発表いたします。

調査実施の背景と目的

 日本リサーチセンターでは、障害についての意識やユニバーサルデザイン、共生社会に関する自主調査を実施し、調査レポートを発表してきました。

 障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず、多様な人々が利用しやすいようあらかじめ都市や生活環境をデザインするという考え方、それがユニバーサルデザインです。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けて、全国各地で誰もが安全で快適に移動できるユニバーサルデザインのまちづくり、心のバリアフリーを広める取り組みが進みつつあります。
 障害は、外見上わかる障害もあればわかりにくい障害もあり、それぞれの障害によってバリアの内容もさまざまで、ユニバーサルデザインのまちづくりを進めていくとき、多様な障害の内容を理解することで、より有効なバリア解消法が見えてくると考えられます。
 では、障害の多様性は人々にどのように認識されているのでしょうか。また、2019年の現在、人々が日常生活の中で、ユニバーサルデザイン化がまだ行き届いていないと感じている領域はどこにあるのでしょうか。

 このような、2019年におけるユニバーサルデザインのまちづくりに関する人々の意識実態を明らかにするため、この調査を企画しました。

主な調査項目

  1. ユニバーサルデザインが不足していると感じる領域
    (もっと工夫や配慮があればさまざまな人に利用しやすくなると思う日常場面での場所・こと)
  2. 障害のある人と聞いて思い浮かべる人

調査結果の要約

  • ユニバーサルデザインが不足していると感じる領域(もっと工夫や配慮があればさまざまな人に利用しやすくなると思う日常場面での場所・こと)(複数回答)

    もっと工夫や配慮があればさまざまな人に利用しやすくなるのにと思ったことがあるものは、「駅やバス停」(51.3%)、「レストラン・飲食店」(42.5%)、「デパート・スーパー・コンビニ・ショッピングセンター」(42.4%)、「電車」「横断歩道・信号」(各40.3%)が4割以上で上位に挙げられた。ユニバーサルデザインが不足していると感じるものは、日常的に多数の人が利用する公共交通、商業施設に対して多く集まった。

    また、「繁華街」(29.5%)、「観光地」(27.8%)、「温泉・温浴施設」(25.3%)、「ホテル・旅館」(23.9%)も2割台となっており、2020年にはオリンピック・パラリンピック開催で海外から多様な人々の来日が予想される中、観光施設等に対しても、いまだにユニバーサルデザイン化の不足が一定程度感じられている状況がみられた。

     

    「障害のある人」というと思い浮かべる人 (複数回答)

    「障害のある人」というと思い浮かべる人は、「目の不自由な人」(86.2%)、「身体障害のある人」(83.4%)、「車いすの人」(80.2%)、「耳の不自由な人」(79.2%)が約8割以上と非常に高く、「知的障害のある人」(68.9%)、「発達障害のある人」(55.6%)が続く。「心臓ペースメーカーをつけている人」(25.9%)、「人工肛門・膀胱の人(オストメイト)」(20.8%)、「人工透析を受けている人」(19.5%)などの内部障害がそれぞれ2割前後であった。概して外見からはわかりにくい障害については、想起比率が低めの傾向がみられ、種別による開きが見られた。

     
  • 「障害のある人」と聞いて思い浮かべる障害種別×ユニバーサルデザインが不足していると感じるもの

    「障害のある人」というと思い浮かべる人(複数回答)で思い浮かぶ障害種別の数の多さは、障害の多様性に対する理解の程度を表す一側面と思われる。「その他」を含め例示した合計17の障害種別のうち、思い浮かぶ種別として回答した種別数の平均数は7.2種別であった。

    思い浮かぶ障害種別が多い人(想起数10~17種別)ではユニバーサルデザインが不足していると感じる領域数の平均は8.9領域であるのに対し、思い浮かぶ障害種別が少ない人(想起数0~4種別)のユニバーサルデザインが不足していると感じる領域数の平均は4.1領域であり、多様な障害を思い浮かべることができる人ほど、さまざまなバリアに気づきやすい傾向が見られた。

調査概要

調査方法
 調査員による個別訪問留置調査  日本リサーチセンターオムニバスサーベイ(NOS)を利用
調査対象
 全国の15〜79歳男女個人
有効回収数
 1,200人(サンプル)
 ※エリア・都市規模と性年代構成は、日本の人口構成比に合致するよう割付実施
サンプリング
 毎月200地点を抽出、住宅地図データベースから世帯を抽出し、個人を割り当て
調査期間
 2019年8月30日~9月11日

詳細は、下記PDFファイルをご参照ください。
ユニバーサルデザイン調査2019_ユニバーサルデザインのまちづくりはどの程度進んでいると考えられているか_レポート.pdf

ユニバーサルデザイン調査2019単純集計結果


 


NOS(日本リサーチセンター・オムニバス・サーベイ)とは

調査パネルを使ってインターネットで簡単に情報収集できる時代になりましたが、NOSでは、50年近くにわたって、
(1)調査員を使った訪問留置
(2)パネルモニターではない毎回抽出方式
で調査を継続しており、代表性のある信頼の高いデータを提供しております。
NOSは、毎月1回定期的に実施する乗り合い形式(オムニバス)の調査です。毎回ランダムに決められた200地点にて、対象となる方に調査員が協力を依頼してアンケートを回収します。性年代構成を日本の人口構成比に合わせているため、全体結果は日本を代表する意見として、そのままご覧になることができます。インターネット調査では、回収が難しい70代以上の対象者やインターネットを使っていない人の実態や意識を分析するのにも有用な手法と言えます。


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