NRCレポート

ユニバーサルデザインのまちづくりは
どの程度進んでいると考えられているか

~ユニバーサルデザイン調査2020~
時事・トレンド 生活・ライフスタイル

公表日 2020年12月25日

日本リサーチセンター(本社:東京都、代表取締役社長:鈴木稲博)は、1960年に設立された民間の調査研究機関であり、民間企業および官公庁、大学をはじめとする学術機関などの依頼を受け、各種の調査研究をおこなっています。
 当社の自主企画として、「ユニバーサルデザイン調査2020 ユニバーサルデザインのまちづくりはどの程度進んでいると考えられているか」を把握するための調査を実施しましたので、結果を公表いたします。

調査実施の背景と目的

 

 障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず、多様な人々が利用しやすいようあらかじめ都市や生活環境をデザインするという考え方、それがユニバーサルデザインです。東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けて、全国各地で誰もが安全で快適に過ごせるユニバーサルデザインのまちづくりが進みつつあります。
 障害は、外見上わかる障害もあればわかりにくい障害もあり、それぞれの障害によってバリアの内容もさまざまです。ユニバーサルデザインのまちづくりを進めていくとき、障害の多様性を理解することで、より有効なバリア解消法が見えてくると考えます。
 現在、人々に障害の多様性はどのように認識されているのか、また、人々が日常生活の中でユニバーサルデザイン化がまだ行き届いていないと感じている領域はどこか、それを探ることで、ユニバーサルデザインのまちづくりを進めていくための手がかりの一助になればと考え、この調査を企画しました。

調査は、20199月の第1回調査に続き、今回の第2回調査(202010月実施)を行いました。

 

調査項目

1.ユニバーサルデザインが不足していると感じる領域
  (もっと工夫や配慮があればさまざまな人に利用しやすくなると思う日常場面での場所・こと)

 

2.「障害」種別想起・「障害者」認識の状況(障害のある人と聞いて思い浮かべる人)

 

調査結果 要旨

■ユニバーサルデザインが不足していると感じる領域

(もっと工夫や配慮があればさまざまな人に利用しやすくなると思う日常場面での場所・こと)

上位には、日常的に多数の人が利用する公共交通、商業施設が挙げられているが、「レストラン・飲食店」はやや減少傾向。公共交通やその他の商業施設については2019年から変化せず、ユニバーサルデザイン化の不足感が集中している状況が継続中。

2019年から2020年にかけて、「観光地」、「温泉・温浴施設」、「スポーツ施設・競技場・球場」 などの観光・レジャー領域の施設・場所、「レストラン・飲食店」や「職場」で減少が見られる。しかし、これらはいずれも新型コロナウイルス感染症対策として利用機会が減少したことが想定される領域であることから、ユニバーサルデザインが進んだことが評価されたという可能性のほかに、2020年の新型コロナウィルス感染症拡大に伴う外出抑制・利用減により、ユニバーサルデザインの過不足状況自体が評価しにくくなったことによる反応低下の可能性も考えられる。

 

図表1.png 

 

■「障害」種別想起・「障害者」認識の状況(障害のある人と聞いて思い浮かべる人)

「目の不自由な人」、「身体障害のある人」、「耳の不自由な人」などが上位に挙げられている点は変化がないが、2019年から2020年にかけて「車いすの人」は減少。
概して外見からはわかりにくい障害については想起比率が低めで、種別による開きが見られる。

 

図表2.png

 

調査概要

調査方法
 NOS(日本リサーチセンター・オムニバス・サーベイ:定期的に実施する乗り合い形式の全国調査)
 調査員による個別訪問留置調査
調査対象
 全国の15〜79歳男女個人
有効回収数
 1,200人(サンプル)
 ※エリア・都市規模と性年代構成は、日本の人口構成比に合致するよう割付実施
サンプリング
 全国から200地点を抽出、住宅地図データベースから世帯を抽出し、個人を割り当て
調査期間
 第2回調査 2020年10月2日~10月14日 (第1回調査 2019年8月30日~9月11日)

 

 

■詳細は、下記レポート(PDFファイル)をご参照ください。

UD調査2020_ユニバーサルデザインのまちづくりはどの程度進んでいると考えられているか_結果レポート.pdf

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<参考:障害についての意識やユニバーサルデザイン、共生社会関連の日本リサーチセンターの自主調査>

ユニバーサルデザイン社会の実現度定点観測調査_第4回(2020年)結果レポート.pdf

ユニバーサルデザイン調査2019_ユニバーサルデザインのまちづくりはどの程度進んでいると考えられているか_レポート.pdf

2019年障害のある人の政治参加と就労・就学に関する調査レポート.pdf

ユニバーサルデザイン社会の実現度定点観測調査_第3回(2019年)中間レポート.pdf

ユニバーサルデザイン社会の実現度定点観測調査_第2回(2018年)調査レポート.pdf

ユニバーサルデザイン理解浸透度定点観測調査_第1回(2017年)調査レポート.pdf



NOS(日本リサーチセンター・オムニバス・サーベイ)とは


調査パネルを使ってインターネットで簡単に情報収集できる時代になりましたが、NOSでは、50年にわたって、
(1)調査員を使った訪問留置
(2)パネルモニターではない毎回抽出方式
で調査を継続しており、代表性のある信頼の高いデータを提供しております。
NOSは、定期的に実施する乗り合い形式(オムニバス)の調査です。毎回ランダムに決められた200地点にて、対象となる方に調査員が協力を依頼してアンケートを回収します。性年代構成を日本の人口構成比に合わせているため、全体結果は日本を代表する意見として、そのままご覧になることができます。インターネット調査では、回収が難しい高齢層やインターネットを使っていない人の実態や意識を分析するのにも有用な手法と言えます。

※ご依頼・ご相談は、ホームページの「お問い合わせ」よりご連絡ください。

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