NRCレポート
【NRC デイリートラッキング】
3年間の週別推移 (2022年5月~2025年5月)
❶不安に思うこと
公表日 2025年08月06日
-
日本リサーチセンターは、1960年に設立されたマーケティングリサーチの会社で、民間企業や官公庁、大学等からの依頼を受け、各種の調査研究を行っています。
また、世界各国に調査拠点を置く「GIA」と「WIN」※の日本で唯一のメンバーとしてグローバルネットワークに参加し、海外調査も数多く実施しております。
-
- ※GIA(Gallup International Association)
-
WIN(Worldwide Independent Network of Market Research)
-
-
NRCデイリートラッキングは、2022年5月から毎日同じ質問項目でweb調査を行い、人々の行動や感情を分析しております。
(全国20~69才男女対象で、1日平均150人回収のwebアンケート)
-
今回は、❶不安、❷感情と気分満足、❸行動について、2022年5月から2025年5月末までの3年間の動きをみていくことにします。
-
-
-
-
<3年間の不安率の週別推移> 20~69才全体
-
- ・提示した16項目の中から「今、特に不安や心配に思っていること」をいくつでも選んでもらった結果です。
・調査は毎日行っていますが、20~69才全体の日別結果を週ごとに合算して、週別推移をグラフ化しました。
・期間は、2022年5月17日週から2025年5月28日週までです。この3年間での週別平均値と標準偏差も算出しました。
(2025/5/28週とは、5/28(水)からの1週間の調査期間を示します。その1週間内の日別平均のようなものだとお考えください)
-
・「地震」「台風・洪水」「国際情勢・戦争・紛争」「景気・経済」「治安・犯罪・詐欺」「新型コロナウイルス」では不安率の動きが大きかったですが、「原発・放射能」「ネットのウイルス感染・不正アクセス」「ネットのフェイクニュース」「社会での差別・偏見・いじめ」「介護」は不安率が1割台以下と低く、大きな変動がありませんでした。
-
-
【地震】
・2024年元旦に発生した能登半島地震により、2024/1/2週では不安率が51%まで急上昇し、その後3月中旬まで3割を切ることがありませんでした。
・また、2024年8月上旬には4割に上がっていますが、これは8/8の日向灘と8/9神奈川県西部での地震の影響かと思われます。
-
- 【台風・洪水】
・季節変動がみられ、どの年も8月9月の夏場に上昇しています。特に2024年8月27日~9月1日の台風10号では西日本から東日本の太平洋側を中心に豪雨被害に見舞われ、2024/8/28週では不安率が35%まで上がりました。 -
-
・なお「温暖化などの環境問題」も同じ動きをしており、夏場に不安率が上がる傾向があります。
-
- 【国際情勢・戦争・紛争】
・2022年2月ロシアのウクライナ侵攻の影響が続いていたのか、調査開始時の2023/5/17週は3割後半と高い不安率でしたが、それ以降は少しずつ減少していき、2023年9月には2割まで下がっていました。ところが、2023年10月にイスラエル・ガザ戦争が始まると、また不安率が3割に上昇しました。 -
- 【景気・経済】
・平均は3割半ばですが、2022年9月~11月と、2023年1月~2月上旬に4割前後と高くなりました。それ以降は3割台で推移していましたが、2025年3月頃から増加傾向となり、4/9週には44%の最高値を更新しています。2025年4月2日、米国トランプ大統領が「相互関税」を導入すると発表し、経済や個人消費への不安感がさらに増したのかもしれません。 -
- 【治安・犯罪・詐欺】
・2023年1月下旬から不安率が高まり、2/7週は32%と最大値でした。
・また、2024/10/16週~11/6週も3割前後と高くなっています。この頃は首都圏で「闇バイト」と言われる強盗事件が頻発しており、これにより不安が増したと推察されます。
-
- 【新型コロナウイルス】
・この16項目の中で最も大きく変動したのが「新型コロナウイルス」でした。最大値は2022/7/26週の49%、最小値は2025/5/7週の7%で、その差は42ポイントもありました。
・2022年は5月から12月まで3割から4割台と高い水準でしたが、2023年2月になると3割まで下がり、感染症法上の位置づけが5類に移行した5月では2割を切りました。
- ・2023年10月から2024年は1割台で推移しており、流行時期の7月には一時2割を超えましたが、それ以上は上昇せず、2024年8月末には1割前半まで下がっています。
・3年前の2022年は新型コロナへの不安が強かったようですが、2025年現在はコロナ禍も5年目となり新型ウイルスの存在に慣れてきたこと、また5類に移行されたこともあり、人々の不安や心配は大きく減少しました。2025年5月末時点では不安率は1割未満となっています。
-
-
-
-
<3年間の週別平均と標準偏差>
- ・2022年5月17日週から2025年5月28日週の3年間、合計159週の平均と標準偏差を算出して不安率の高低と変化の大きさをみてみましょう。
- ・20~69才全体の平均値でみると、この3年間で不安率が高かったのは「老後・年金」と「健康や病気」で4割を超えていました。
・次いで「景気・経済」35%、「地震」27%、「国際情勢・戦争・紛争」26%が高いです。
・反対に「原発・放射能」「ネットのフェイクニュース」は1割未満と不安率は低くなっています。 - ・「平均+標準偏差」と「平均-標準偏差」からその差分をみると、「老後・年金」「健康や病気」は差分が小さく、不安率は高いものの、この3年間であまり動きがないことがわかります。
・また「原発・放射能」「ネットのウイルス感染・不正アクセス」「ネットのフェイクニュース」「社会での差別・偏見・いじめ」「介護」は不安率が低く、動きもほとんどありません 。
- ・一方、「地震」「台風・洪水」「新型コロナウイルス」「国際情勢・戦争・紛争」は差分が大きく、変化が大きくなっています。
-
- ・次に年代別の平均値もみてみましょう。
- ・「地震」「台風・洪水」「温暖化などの環境問題」「新型コロナウイルス」「国際情勢・戦争・紛争」「老後・年金」「健康や病気」は年齢が上がるほど平均が高くなり、高齢層ほど不安率が高いという傾向がみられます。
- ・「介護」は20代から50代にかけて不安率が高まっていますが、60代でやや低下し、50代で最も高いスコアでした。
- ・一方「ネットのフェイクニュース」「社会での差別・偏見・いじめ」は年齢差が小さいものの、どちらかと言えば若い層で不安率が高めです。また「人間関係」は20代から50代は2割台ですが、60代は16%と他の年代層より低くなっています。
- ・どの年代も16項目のうち「老後・年金」「健康や病気」「景気・経済」が上位の不安である点は同じですが、20代は「景気・経済」が最も多く、30代は「景気・経済」「老後・年金」「健康や病気」の3つが同じくらい、40代・50代・60代は「老後・年金」「健康や病気」の2つが上位でした。
-
-
NRCデイリートラッキング 調査概要
-
- 調査目的:人々の行動と感情について日々の変化をトラッキングする
- 調査方法:web調査
- 調査対象者:NRCサイバーパネル会員 全国20~69才男女 毎日(平均)約150人回収
- 日本の人口構成比(エリア、男女、年代)に合わせてウエイト集計
- 調査期間:2022年5月17日からデイリーでトラッキング調査を実施中
- 今回は、2022年5月~2025年5月の3年を「週別推移」で分析
- 調査機関:日本リサーチセンター(NRC)
- 調査項目:今あなたが不安に思っていること、昨日の感情と気分満足、昨日行ったこと
-
-
-
-
-
-
「NRCサイバーパネル」について
-
本調査は、日本リサーチセンターの自社パネル「サイバーパネル」を利用しています。
サイバーパネルでのアンケートに参加されたい方は、以下の「モニター募集ページ」をご覧になってください。
-
-
《引⽤・転載時のお願い》
本レポートの引用・転載につきましては、下記「お問合せ窓口」までご連絡をお願い致します。
掲載時には当社クレジットを明記いただき、調査結果のグラフ・表をご利用の場合も、当社クレジットの記載をお願い致します。
株式会社 日本リサーチセンター
担当:営業企画本部 PJサポートチーム